オスグッド病のリハビリで悩んでます…
どこに着目してアプローチしたら良いですか?
今回はこんな悩みを解決していきます。
成長期に多い障害の一つに挙げられるオスグッド・シュラッター病。
実際に学生時代に、このオスグッド病で膝の痛みに悩まされた人も多いんじゃないでしょうか。
- 「成長期だし仕方ないんじゃない」
- 「痛みが引くまで待つしかない」
- 「痛みに合わせて、スポーツしていくしかない」
上記のように考える人もいるでしょう。
間違いではないですが、成長期に多いオスグッド病といえどリハビリでやるべきこと・対処法はあります!
ただ安静にして治るのをまってるだけでは、我々の存在価値がないよね
そんなわけで記事では、オスグッド病のリハビリで悩む人に向けて、見るべきポイントやアプローチを紹介していきますね。
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オスグッド病の基本知識
オスグッド病は、脛骨粗面の痛み・腫脹を主体とする成長期に多い障害の一つです。
好発は、10〜15歳のいわゆる成長期のスポーツ選手。
原因
一般的には成長期のまだ未熟な脛骨粗面の骨・軟骨が、ジャンプ、ランニングといった動作により部分的な剥離を起こしたり、炎症を起こします。
ただ身体機能的に大腿四頭筋を介して脛骨粗面に負担が掛かりやすくなっているケースもあり、リハビリでの対応が重要になってきます。
オスグッドの主な要因は以下の通り
- 骨、軟骨が未熟(急激な身長の伸び)
- 過剰な運動(オーバーユース)
- 大腿四頭筋の伸張性低下、緊張の亢進
- 大腿四頭筋に負担をかける身体要素(後述)
診断
脛骨粗面の圧痛・隆出の確認、レントゲン、エコーで診断が可能です。
診断は医師が行いますが、リハビリでも患者の訴える症状と照らし合わせながら、脛骨粗面の圧痛や腫脹を確認したり、エコーを用いて経過の把握をしていくことは大切です。
エコーがあると脛骨粗面の不整やカラードプラで血流変化を把握できるよ
時期別!オスグッドの基本的な対応
次にオスグッドの基本的な対応についてみていきましょう。
大きく分けると以下の3段階に分けられます。
それぞれ解説していきますね。
急性期は安静が基本の対応
患者が膝の痛みを自覚して病院・クリニックを受診したタイミングや、安静にしていても痛い時期は、患部の安静が基本的な対応となります。
急性期の対応は主に以下のとおり。
- スポーツ活動の制限、中止
- 患部に負担の掛かる運動の禁止
- 物理療法、アイシングの併用
- 大腿四頭筋のストレッチは控える
- 患部外の運動を行う
「オスグッド=大腿四頭筋のストレッチ」と考える人もいるかもですが、急性期は脛骨粗面の状態を悪化させるだけなので控えておきましょう。
ただ痛みに注意しながら、ダイレクトストレッチなどで膝蓋骨周囲の柔軟性を上げるのはOK。
安静時痛が軽減したら、ストレッチ開始
安静時痛や歩行時の痛みが軽減してきたら、大腿四頭筋のストレッチを開始していきいます。
ストレッチの痛み注意しながら、柔軟性を改善していきます。
そして医師の指示に従いながら、スポーツ復帰に向けてジョギングなど運動強度を上げていく時期になります。
圧痛のみ残る時期
脛骨粗面の圧痛だけを訴えるくらいになれば、スポーツ復帰の時期です。
徐々にスポーツの練習にも参加していき、本格的な復帰を目標にします。
患者によっては運後に痛みを感じるケースもあるので、アイシングの指導やケアは継続して行ってもらいます。
いきなり強度の高い練習メニューをこなしたり、試合をするのは注意だよ
オスグッド病に対するリハビリ評価のポイント
オスグッド病のリハビリオーダーが出れば、身長の伸び具合、脛骨粗面の圧痛・腫脹、大腿四頭筋やハムストリングス、殿部、足部の柔軟性は一通りチェックします。
その上で、大腿四頭筋の緊張を上げてしまう動きのクセのチェックが凄く大切になってきます。
多くのオスグッド病の患者では、大腿四頭筋の緊張を上げてしまう共通している運動パターンがあります。
具体的には以下の通り
それぞれ解説していきますね。
骨盤が後傾しやすい
片脚立位やスクワット時に骨盤が後傾してしまうと、大腿四頭筋は緊張が増して脛骨粗面へのストレスが増大してしまいます。
この動きが繰り返されると、脛骨粗面は牽引ストレスにさらされて、次第に痛みが出現してくるという流れ。
動作のなかで骨盤の後傾が入ってしまう原因は、股関節で捉える意識が乏しいケースもありますが、股関節周りの腸腰筋や殿筋群などの滑走不全で筋出力が低下して、骨盤が後傾してしまうケースもめっちゃ多いです。
脊柱が後弯しやすい
前述の「骨盤の後傾」と似ていますが…
片脚立位やスクワット時に脊柱が後弯してしまうと、重心は後方に落ちます。
するとバランスを保つために、大腿四頭筋が緊張を高めてしまい、結果として脛骨粗面へのストレスが強くなるという流れになります。
脊柱の後弯も、股関節周りの腸腰筋や殿筋群などの滑走不全によって筋出力が低下して、いわゆる体幹が効かない状態になっているケースがめっちゃ多いです。
knee-inしやすい
ランジ動作をした際に、膝が内側に入る「knee-in」姿勢も、脛骨粗面の牽引ストレスを上げてしまう大きな要因です。
knee-inすることで、Qアングルが増大して牽引ストレスが強まってしまうというわけ。
スポーツ選手でknee-in姿勢を呈するケースは多いので、しっかりとチェックしましょう!
ちなみにknee-inは動作的な問題もありますが、大腿骨の前捻が強く骨形態的になりやすいケースもあるので、しっかりと鑑別しておきましょう。
大腿骨の前捻角に関しては下記の記事が参考になります。
オスグッド病のリハビリ
オスグッド病のリハビリのポイントは以下のとおり。
それぞれ解説していきますね。
各関節の柔軟性改善
オスグッド病で柔軟性を出しておきたい筋肉・関節部位は主に以下の3つ。
- 大腿四頭筋
- ハムストリングス
- 足関節背屈
特に大腿四頭筋の柔軟性改善は、オスグッド病のリハビリでは重要。
隣接筋肉と癒着して滑走障害を起こしたり、筋肉自体に攣縮が起きているケースも多いので、いきなりストレッチするよりは先に伸張しやすい状態にしてくことが大切です。
大腿四頭筋の緩め方は、こちらの記事で紹介しています。
また足関節背屈の可動性に関しては、下腿三頭筋や長母趾屈筋などの柔軟性以外にも、ケーラー脂肪体と呼ばれるアキレス腱後方に存在する脂肪体による制限も多いです。
ケーラー脂肪体の解剖・リハビリアプローチ方法に関しては、以下の記事を参考にどうぞ。
動作パターンの改善
前述の通りオスグッド病には、大腿四頭筋の緊張を高め脛骨粗面へのストレスを増大させてしまう特有の動作パターンがあります。
具体的には以下の通り
- 骨盤が後傾しやすい
- 脊柱が後弯しやすい
- knee-inしやすい
上記の動作パターンになってしまう原因は、“股関節の意識”が乏しいケースもありますし、いわゆる中枢のコアが働きにくい状態になっていることも多いです。
特に身体外側の大腿筋膜張筋や中殿筋の滑走性が悪くなっていたり、腸腰筋そのものが攣縮していることで、中枢筋群が働きにくい状態のケースが多いです。
上記部位の柔軟性を改善して、コアが効いた状態を作った上で、動作指導へと繋げていくとより効率的になります。
筋バランスの改善
大腿四頭筋の緊張が上がってしまう原因は、前述の柔軟性や動作パターンの問題だけでなく、筋バランスが影響していることもあります。
筋バランスで考慮すべきは以下の3つです。
- 共同筋間バランス
- 拮抗筋間のバランス
- 表層−深層筋間のバランス
大腿四頭筋で考えると、腸腰筋(股関節屈曲の共同筋および深層筋)やハムストリング(拮抗筋)が筋力低下を起こしていると、過剰に働くことになるので必要に応じて強化していきます。
特に腸腰筋は重要な筋肉で、しっかりと使えることで動作面にも大きく影響し、脛骨粗面のストレス軽減に寄与します。
まとめ:オスグッド病の身体的特徴・動作パターンを理解して、リハビリへ活かそう!
この記事では、「オスグッドシュラッター病のリハビリまとめ【原因・評価・アプローチ】」について書きました。
オスグッド病は、成長期に多い障害の一つと言えます。
ですが成長期だから仕方ないと諦めずに、しっかりと身体機能・動作パターンを理解していくことで、復帰までを早めることもできます。
選手それぞれの特徴を評価し、リハビリを進めていきましょう!
今回は以上です。