足関節背屈の制限因子!ケーラー脂肪体ってどんな組織?【リハビリ評価と治療】

足関節の可動域制限は、リハビリでもアプローチすることが多いですよね!?

特に多いのが足関節の背屈制限

 

私も新人の頃なんて、取り敢えずまずは足関節の背屈可動性を改善するためにストレッチなんて時期もありました!

 

『下腿三頭筋が原因だッ!』

 

なんて考えて、とりあえず伸ばしまくっていましたね。

 

ただこの下腿三頭筋だけでなく、本当に色々な組織が足関節背屈の可動域制限には関与してきます。

 

特に制限として深く関わっているなと感じている組織に“ケーラー脂肪体(Kager’s fat pad)”があります。

 

この記事では、足関節背屈制限に関わるケーラー脂肪体についてお伝えしていきます!

ケーラー脂肪体とは

まずはケーラー脂肪体について。

足関節の解剖図を見ると、アキレス腱の深部は何も組織がない空間で表示されていますよね!(下図の矢印の部分)

 

実はこの空間は何もないのではなく…

ケーラー脂肪体と呼ばれる脂肪組織で埋められています。

 

補足

ケーラー脂肪体は、英語ではKager’s fat padと表記されます。

ケーラー(ズ)ファットパッドと呼ぶこともあります。

 

ケーラー脂肪体は、アキレス腱の深部から長母趾屈筋の表層、踵骨近位部の隙間に存在しています。

 

このケーラー脂肪体は以下の3つのパートに分けられます。

ケーラー脂肪体3つのパート

・アキレス腱パート

・長母趾屈筋パート

・retrocalcaneal wedgeパート(ウェッジパート)

 

ケーラー脂肪体の役割

ケーラー脂肪体の役割には様々あります。

ケーラー脂肪体の役割

・後脛骨動静脈と脛骨神経の保護

・アキレス腱、長母趾屈筋の滑走性の維持

・アキレス腱下、アキレス腱付着部の圧縮力の軽減

・retrocalcaneal bursa(後踵骨滑液包)の内圧調整と摩擦軽減

 

このように様々な役割がありますが、基本的にはアキレス腱などの周囲組織の滑走性に寄与したり、メカニカルストレスの軽減に関わっています。

 

ケーラー脂肪体の拘縮で生じる影響

ケーラー脂肪体はその役割が多くあるため、このケーラー脂肪体が拘縮すると様々な影響が出てきます。

 

具体的には、以下のような影響が出てきます。

ケーラー脂肪体の拘縮で生じる影響

・足関節背屈

・底屈時のアキレス腱の滑走性の低下(足関節の可動域制限)

・下腿三頭筋や長母趾屈筋の滑走性低下(特に足関節背屈制限)

・アキレス腱付着部へのストレス増大

・retrocalcaneal bursaの炎症

・アキレス腱の痛み

 

リハビリ場面では、ケーラー脂肪体が拘縮するとアキレス腱・長母趾屈筋の動きが悪くなるため、足関節の可動域制限(特に背屈)や痛みが生じてくるケースが非常に多いです。

 

足関節内反捻挫後、外傷後のギプス固定除去後、アキレス腱炎などの多くの疾患で、このケーラー脂肪体の拘縮・柔軟性低下が影響していると感じています。

 

臨床でもアキレス腱の深層部を触ると、硬く動きが少なくなっているケースは非常に多いです。

 

そしてこの部分をしっかりとリリースしていくと、足関節の可動域制限が改善するケースは非常に多いです。

そのため一般整形でもスポーツ整形患者でもしっかりとチェックしておく必要があります!

 

その他の足関節背屈制限の制限因子については以下を参照下さい。

【臨床で役立つ】足関節背屈制限に対する評価とアプローチ

ケーラー脂肪体のリハビリ【評価と治療】

ケーラー脂肪体に関しては、評価と治療がほぼ同じ方法になってきます。

 

触診としては、アキレス腱の深層部分を左右から挟むようにつまみます。

左右それぞれから交互に圧迫をしていき硬さをチェックしていきます。

 

アキレス腱の深部からアキレス腱パート、長母趾屈筋パートと別れているので、アキレス腱の深層から長母趾屈筋の表層まで深さを変えながら触り分けていきます。

(左右差もチェックしていくとより違いが分かります)

 

左右からの圧迫で硬さがあり、側方への動きに制限があれば、ケーラー脂肪体の柔軟性低下があると判断します

 

ケーラー脂肪体は摩擦刺激で柔軟性が改善するため、治療に関しても評価と同じように硬い部分を中心に左右からの圧迫を繰り返し解していきます。

 

ウエッジパートの治療法

ケーラー脂肪体のウエッジパートに関しては少し治療方法が変わってきます。

 

アキレス腱と踵骨後上方突起と間を出入りするのが、ウェッジパートの役割です。

 

ウェッジパートの動きの特徴として、足関節底背屈に伴う長母趾屈筋パートの動態に伴いアキレス腱パートと踵骨の間を出入りします。

そのため長母趾屈筋パートの移動に伴い、ウェッジパートも移動できる柔軟性が求められます。

 

治療法としては、一方の手で踵骨を把持し、もう一方の手で長母趾屈筋パートのを左右から挟みます。

そして踵骨を遠位へ引き下げるよう背屈しながら、反対の手では長母趾屈筋パートを近位へ動かすようにしていきます。

 

次に逆の操作で踵骨を近位へ押し上げるように底屈しながら、反対の手で長母趾屈筋パートを遠位へ動かすようにしていきます。

 

 

この操作を繰り返すことでケーラー脂肪体のウェッジパートの動きを改善していきます。

 

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おすすめ書籍

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おわりに

いかがでしたでしょうか?

リハビリ場面では足関節の可動域制限は遭遇する機会の多い現象ですが、その要因も様々です。

そしてこのケーラー脂肪体は多くのケースで柔軟性が低下しています。

是非、チェックしてもらうと良いと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました!