普段のリハビリの中で、患者さんの大腿骨(頚部)の前捻角を考慮しているでしょうか?
実はこの大腿骨の前捻角は、股関節だけでなく全身に大きく影響を及ぼす因子になります。
特に臨床でみると大腿骨の前捻角が過度になっているケースで様々な問題が生じています。
ですから患者さんの大腿骨が正常より過度に前捻しているのかどうかを把握しておくことで、症状や動作の原因が見えてくることも多いです。
この記事では大腿骨の前捻角とその大腿骨の前捻角を評価するクレイグテストについてお伝えしていきます。
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大腿骨の前捻とは?
通常、大腿骨頚部は遠位の大腿骨内外顆部を結ぶ線(横軸)に対して前方へ捻れています。
これを(大腿骨頚部の)前捻と言い、その捻れの角度を前捻角と呼びます。

大腿骨前捻角の基準値とバリエーション
平均成人の大腿骨の前捻の正常角度は、約10〜15°とされています(個人差は大きいです)。
この前捻角が病的に増加した状態を過前捻(15°以上)、逆に病的に減少した状態を後捻(10°以下)と言います。

臨床では過前捻の患者さんで、痛みなどの問題が生じているケースが多い印象があります。
上図とは違い実際には…過前捻の状態では大腿骨頭を臼蓋に適合させて安定されるために、代償的に股関節を内旋位にします。
(後捻の場合は逆に股関節外旋位をとります)
過前捻のケースでは、“W座位(アヒル座り)”で座ることを好む傾向があります。
この座り方は、小さい子供や女性でよく見かけますよね!

注意したいこととして大腿骨の過前捻のケースでは…
股関節の適合性を高めるためにいわゆる“内また”の姿勢となっているため、それを無理に中間位に修正したり、股関節外旋の可動性を高めようとストレッチをすると大腿骨頭による関節前面組織の圧迫によって痛みが生じてしまいます。
ちなみに過前捻は臼蓋形成不全の患者さんに優位に多いという特徴もあります。
前捻角は生後から成長するにつれて減少していきます。
出生時は30〜35°程度の前捻がありますが、約6歳までに減少するとされています。
大腿骨前捻と筋力
さらに臨床では前述の大腿骨の過前捻に加えて、経験則として外旋筋群の出力が低下しているケースも多い印象です。
大腿骨の過前捻の状態でも外旋筋などによって大腿骨頭のコントロールできていれば良いのですが、外旋筋群の筋出力の低下がしている状態では不安定性が生じているケースが多いです。
こういった患者さんに側臥位で下肢屈曲位から外転・外旋をしてもらうと、数回行っただけでさらに筋出力が低下し外転・外旋角度が下がってきたり、“プルプル”と震えてくる方が多いです。

さらに荷重下ではこの外旋筋群によるコントロールの低下によって、knee-inを取りやすいケースも多くみられます。
そういった状態では股関節のみならず、他関節へストレスを与えてしまいます。
それが結果として他関節の痛みへと繋がっていきます。

扁平足やシンスプリント、膝蓋腱炎などの患者さんを評価していくと、この大腿骨の過前捻や外旋筋群の筋出力が低下していることが多いです。
そのため足部など末梢の疾患であっても、中枢部分である大腿骨の前捻角の評価はしっかりとしておいた方がいいです!
大腿骨前捻角を評価するクレイグテスト
大腿骨の前捻角を評価するテストにクレイグテスト(craig test)があります。
クレイグテストの評価方法はそれ程難しくないのでしっかりと覚えていきましょう!

クレイグテスト 評価方法
肢位:腹臥位、膝関節屈曲90°
評価方法:検査側の大転子を触知したまま股関節を内旋させる
判定基準:股関節を内旋していき、最も大転子が突出する角度が大腿骨前捻角度と一致する
まとめ
いかがでしたでしょうか?
臨床では大腿骨の前捻が過度になっていて、結果として足部などに痛みが出現しているケースが多いです。
ついつい見逃しがちにはなりますので、しっかりと評価していきましょう!
最後までお読み頂きありがとうございました。