深層筋(インナーマッスル)と聞くとどんな筋肉を思い浮かべますか?
一般には体幹の腹横筋や横隔膜、肩関節のローテーターカフを思い浮かべることが多いんじゃないでしょうか!?
深層筋はどこの関節にもあり、もちろん股関節にも存在しています。
特に股関節のような可動性の大きい球関節では、深層筋による安定が必要になってきます。
今回はこの股関節深層筋の役割についてお伝えしていきます。
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股関節の浅層筋、深層筋
まずは筋群の分類。
股関節浅層筋
- 大殿筋
- 中殿筋(前部・中部線維)
- 大腿筋膜張筋
- 股関節内転筋群
股関節深層筋
- 小殿筋
- 腸腰筋
- 中殿筋後部線維
- 短外旋筋(+内閉鎖筋)
股関節では、大まかにはこの様に浅層筋と深層筋に分類されます。
股関節深層筋の役割
では股関節深層筋の役割についてみていきましょう!
役割は大きく分けて以下の3点に集約できます。
- 力学的支持としての役割
- 関節運動の誘導としての役割
- 感覚器としての役割
それでは細くみていきましょう!
力学的支持としての役割
深層筋である小殿筋や中殿筋後部線維の走行を見ると、概ね大腿骨頸部と平行に走行しています。
そのためこれらの筋群が収縮することで、大腿骨頭を臼蓋に押し付ける働きをして骨頭を安定させます。
この様に深層筋の働きが落ち、臼蓋への圧縮力が低下すると疼痛や不安定性が生じやすくなってきます。
関節運動の誘導
深層筋のうち、腸腰筋と閉鎖筋群は骨頭を包み込む様に走行し安定をもたらしています。
またこれらの筋群の合成ベクトルは、骨頭を臼蓋に押し付ける方向に向かい、結果として股関節を安定させます。
このため股関節の回転軸が安定し、関節運動に伴う骨頭の偏移を最小限に留めています。
正常に比べ臼蓋形成不全の股関節では回転中心の移動量が大きくなります。
また小殿筋は関節包に付着し、関節運動に伴う関節包の挟み込みも防止しています。
感覚器としての役割
深層筋はTypeⅠ線維(遅筋線維)の割合が多く、筋紡錘・腱器官が多く存在しています。
そのため姿勢・動作時の制御や安定に関与してきます。
TypeⅠ線維の特徴
TypeⅡ線維の特徴として…
- 廃用(不動)、疼痛、反射抑制への感受性が高い
- 損傷した関節からの異常な求心性情報により筋群の運動単位の活動を低下させる
まとめると深層筋は働きが弱まりやすいという特徴があるということ。
深層筋促通のポイント
深層筋の促通するポイントは…
- 筋が作用する運動方向の最終域・小さな範囲で収縮を促す
- 負荷は極軽度(最大収縮の5〜15%程度)
- 等尺性収縮から行う
- 可能な限り、重力負荷を除去
- 共同筋、拮抗筋の収縮を除去して行う
深層筋は細かい筋肉ですので、抵抗は減らし小さな範囲で繰り返し動かしていくことが大切になります。
しっかりと筋肉が働いていると“ダルさ”が出てきますので、一つ参考になるかと思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
股関節の深層筋を促通することで変形性股関節症でみられる骨頭の不安定性が軽減し、痛みなども軽減するケースは非常に多くみられます。
ぜひ臨床にプラスしていって下さい^_^
最後までお読み頂きありがとうございました!