肩関節疾患の患者さんをリハビリする中で、肩関節外側 (上腕外側)に痛みの訴えを聞くケースって多くないでしょうか?
可動域は改善してきているのに、挙上すると肩関節や上腕外側に痛みや突っ張り感を訴えられるケースはリハビリ場面でも多く遭遇すると思います。
この記事ではそんな肩関節外側部の痛みの原因についてまとめていきたいと思います。
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肩関節外側部痛の原因
私が普段のリハビリの際に、肩関節外側に痛みを訴える患者さんに遭遇した場合に考慮しているポイントとしては以下の5つがあります。
- 肩峰下インピンジメント
- 三角筋、三角筋下滑液包の柔軟性
- 腋窩神経の絞扼
- 後下方関節包の短縮
- トリガーポイント
肩峰下インピンジメント
臨床では頻繁に遭遇する現象で、肩関節外側部痛の原因としても上位に挙げられます。
肩峰下インピンジメントは、上腕骨大結節に付着する棘上筋や肩峰下滑液包が烏口肩峰アーチの下面と衝突する現象です。

肩峰下インピンジメントの起こる因子としては…
- 腱板断裂
- 腱板筋力低下 (三角筋とのマッスルバランス不良)
- 腱板や肩峰下滑液包の腫脹
- 肩峰下の骨棘
肩関節外転運動では、インナーマッスルである棘下筋とアウターマッスルである三角筋がバランス良く共同収縮して、大結節が肩峰下へ滑り込みながら円滑な運動が行えます (フォースカップル機構)。

腱板断裂や肩関節周囲炎などに伴う腱板の筋力低下によって、アウターマッスルである三角筋が優位となることで上腕骨頭が上方偏位し、上腕骨頭–肩峰間のスペースが狭くなり肩峰下インピンジを起こし痛みへと繋がります。
また腱板・肩峰下滑液包の腫脹や肩峰下の骨棘も、上腕骨頭–肩峰間のスペースが狭くなるため肩峰下接触圧が高まったり、腱板・肩峰下滑液包の一部に圧が高まることになります。
三角筋・三角筋下滑液包の柔軟性
肩関節外側部に痛みを出す組織としては、必ずチェックしたいのが三角筋とその下方に位置する三角筋滑液包 (三角筋下包)です。

三角筋は前部・中部・後部と肩関節を広く覆っているため、肩関節が屈曲・伸展・内転と動く際に各線維が伸張されます。そのため三角筋の柔軟性が低下した状態では、肩関節運動時には三角筋への伸張ストレスが高まり痛みへと繋がります。
また三角筋の下方に位置し三角筋と棘上筋および上腕骨頭との摩擦を緩衝する役割を果たす三角筋下滑液包の滑動性が低下した状態では、三角筋や腱板の収縮により摩擦ストレスが加わり肩関節外側の痛みへと繋がります。
三角筋下滑液包は、直接触診するのが困難で滑動性のテストが存在しません。
そのため三角筋を前後から把持し、そのまま前後に動かしその際の柔軟性を参考にしたり、前後に動かした後に痛みが軽減するかを参考してチェックしていきます。
腋窩神経の絞扼
腋窩神経や上外側上腕皮神経 (腋窩神経の感覚枝:上腕外側を知覚する神経)の絞扼も肩関節外側の痛みとして考慮したいポイントになります。
腋窩神経は肩関節後方の四辺形間隙(QLS:quadrilateral space-クアドリラテラルスペース)と呼ばれる隙間を通過しています。
このQLSは上腕三頭筋、大円筋、小円筋、上腕骨から構成される隙間です。

何らかの影響でこれら筋群の筋緊張が高まった状態で挙上時に伸張されることで、QLSのスペースが狭くなり腋窩神経が絞扼され、肩関節外側に痛みが生じます。

QLSを構成する上腕三頭筋、小円筋、大円筋は肩関節疾患では筋緊張が高まりやすい筋ですので、QLSや各筋に圧痛がないかをチェックしていきます。
後下方関節包の短縮
肩関節外側の痛みは関節包の影響も受けます。
関節包への刺激によって同じ神経支配の皮膚知覚領域への刺激と誤認する関連痛が起こります。
肩関節包の後下面には腋窩神経が分布しており、腋窩神経の知覚領域は肩関節外側になります。

そのため肩関節の後下方関節包が短縮 (伸張性の低下)した状態で、挙上などで刺激が加わると腋窩神経の関連痛として、肩関節外側に痛みが生じます。
トリガーポイント
肩関節外側の痛みに対してリハビリを進める上では、トリガーポイントの影響も考慮する必要があります。
特にチェックしておきたい肩関節外側に痛みを送るトリガーポイントは4つあります。
- 斜角筋
- 棘上筋
- 棘下筋
- 三角筋


様々な整形外科テスト等をしても原因がはっきりしないケースでも、意外とトリガーポイントが原因だったというケースも多くあります。
これらの筋を押圧してみて、肩関節外側に痛みが生じるかをチェックしていきます。

おわりに
肩関節外側の痛みの原因についてまとめました。
肩関節外側の痛みは患者さんによって様々な原因が関与しています。その際に今回紹介した内容をリハビリを行う際の参考にして頂けると幸いです!
最後までお読み頂きありがとうございました。