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腱板筋(ローテーターカフ)の機能不全を鑑別する評価まとめ

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肩関節はその可動性の大きさから、筋肉による安定性をどれだけ担保できるかが重要です。

肩関節の安定に関わる筋肉は多くありますが、中でも腱板筋(ローテーターカフ)による骨頭の求心位を獲得できるかが大切になってきます。

特に肩関節周囲炎や腱板損傷・断裂のケースでは、すごく重要な筋肉になってきます。

しかし臨床の中では、果たしてどの腱板筋が影響しているか迷ってしまうことが多いですよね。

ヤマト

とりあえず全部の筋肉にアプローチするのは効率悪いしね…

短いリハビリの時間の中では、的確に「この筋肉が影響している」と判断しアプローチする必要があります。

そんなわけで本記事では、どの腱板筋(ローテーターカフ)が機能不全・損傷を起こしているかを鑑別するための評価を筋肉別にまとめていきます。

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目次

腱板筋の機能不全を鑑別する評価方法

腱板(ローテーターカフ)の機能不全を鑑別する評価を筋別にまとめていきます。

棘上筋

腱板の中で最も損傷しやすいのが棘上筋。

ヤマト

リハビリでも治療対象となることが多い筋肉だね

棘上筋の機能不全を鑑別する検査は以下の3つ。

drop arm sign

  • 検査肢位:座位
  • 検査方法:検査者が患者の肩関節を外転位で他動的に保持した状態から、その状態を保持するよう指示し腕を離す
  • 判断基準:外転位を保持できず腕が下がる、もしくは疼痛が生じた場合は陽性
  • 検査意義:棘上筋に損傷がある場合、張力が低下するため外転を保持することが困難となる、また収縮に伴い疼痛が生じる

若年者などで三角筋の筋力が強い場合は代償して保持が可能なため注意して評価する

full can test

  • 検査肢位:座位
  • 検査方法:患者に肩関節外転、肘関節伸展・回外位で保持させ、検査者が前腕遠位から内転方向へ抵抗を掛ける
  • 判断基準:肩関節外転位を保持できず腕が下がる、もしくは疼痛が生じた場合は陽性
  • 検査意義:棘上筋に損傷がある場合、張力が低下するため外転を保持することが困難となる、また収縮に伴い疼痛が生じる

前腕を回外することで上肢は外旋位となり、上腕二頭筋長頭腱の作用により骨頭の上方偏位を抑えるため、棘上筋の機能を代償するため注意が必要

empty can test

  • 検査肢位:座位
  • 検査方法:患者に肩関節外転、肘関節伸展・回内位で保持させ、検査者が前腕遠位から内転方向へ抵抗を掛ける
  • 判断基準:肩関節外転位を保持できず腕が下がる、もしくは疼痛が生じた場合は陽性
  • 検査意義:棘上筋に損傷がある場合、張力が低下するため外転を保持することが困難となる、また収縮に伴い疼痛が生じる

前腕を回内することで上肢は内旋位となる。
前述のfull can testでは上肢外旋位であり、上腕二頭筋長頭腱の作用により骨頭の上方偏位を抑え棘上筋の機能を補助するため、このempty can testの方が棘上筋の機能を把握しやすい

棘下筋(小円筋も含む)

腱板の中でも、その機能的な重要度の高い棘下筋。

棘上筋の機能不全を鑑別する検査は以下です。

external rotation lag sign

  • 検査肢位:座位
  • 検査方法:肩関節下垂、肘関節90°屈曲位から他動、そして自動にて外旋運動を行う
  • 判断基準:自動運動で、他動時に確認した可動域まで動かせなければ陽性
  • 検査意義:自動と他動で可動域に差があると棘下筋(および小円筋)の機能不全を疑われます

陽性の場合は棘下筋(および小円筋)の損傷・機能不全があると考えられるが、損傷・機能不全があっても陰性となることもあり、画像所見との整合性を確認する必要があります

肩甲下筋

腱板の中で肩関節の前方安定性に関与する肩甲下筋。

肩甲下筋の機能不全を鑑別する検査は以下です。

lift off test

  • 検査肢位:座位
  • 検査方法:結帯肢位(肩関節伸展・内転・内旋、肘関節屈曲)で、手背を背中につけた位置から、検査者は前腕遠位部にに抵抗を掛ける
  • 判断基準:抵抗に抗せず疼痛が生じると陽性
  • 検査意義:肩関節内転位での内旋運動によって、肩甲下筋上部筋束での収縮を強制させる

肩関節疾患では評価肢位である結帯肢位が困難な患者も多く、小胸筋や肩関節上方・後方組織の短縮や肩甲骨の機能不全を呈した場合でも疼痛が出現するため注意が必要

belly press test

  • 検査肢位:座位
  • 検査方法:肩関節を下垂内旋位として、前腕を腹部にあてた状態から腹部を圧迫するように肩の内旋を行なってもらう
  • 判断基準:疼痛が出現すれば陽性
  • 検査意義:肩関節内旋により肩甲下筋の等尺性収縮を誘発することで、損傷の有無を判断できる

短縮位での筋収縮を促しているため、伸張時痛や伸張位での収縮時痛は確認出来ないため可動域全域にわたる評価が必要。

また棘上筋や棘下筋は、損傷以外にも肩甲上神経の影響でも筋力低下が起こるので、併せてチェックしておきましょう。

肩関節のリハビリを学べるおすすめ書籍

肩関節に関する書籍は数多く出版されています。

中でもより臨床に即して、リハビリに活かせるのは赤羽根先生の「肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版」です。

肩関節の解剖・運動学から、病態の理解までしっかり学べる良書です。

運動と医学の出版社
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ヤマト

写真・イラストも多く分かりやすいよ

また村木先生の「肩関節理学療法マネジメント−機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く」も、肩に関して詳しく書かれているのでおすすめです。

監修:村木 孝行, 編集:甲斐 義浩
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腱板筋(ローテーターカフ)の機能不全を鑑別する評価まとめ

腱板(ローテーターカフ)の機能不全・損傷を鑑別するための評価方法をまとめました。

評価がしっかりしてターゲットとする筋肉が鑑別できれば、患者さんに現状や症状の原因をしっかりと説明出来ますし、明確にセルフエクササイズも指導でき改善率も自然と上がりますよね(^ ^)

アプローチに注目しがちになりますが、鑑別の評価をしていくことはめっちゃ重要ですので、しっかりと評価をしていきましょう!

最後までお読み頂きありがとうございます!

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