
腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行で悩んでいます。
アプローチ方法も知りたい!
今回はこんな悩みを解決していきます。
- 間欠性跛行の原因
- 間欠性跛行を改善するポイント
- 間欠性跛行のアプローチ方法
腰部脊柱管狭窄症で特徴的な症状の一つが間欠性跛行。
歩いてると次第に、殿部や下肢に痛みや痺れが…。
でも座って休むと大丈夫!という患者さんは多いですよね。
この間欠性跛行を改善できるかどうかは、患者さんのQOLをあげる意味でもすごく重要。
なかなか改善が難しいイメージがあるかもですが、しっかりとポイントを押さえてリハビリすれば、患者さんが症状なく歩行可能な距離がどんどん延長してくる事はよく経験します。
なので腰部脊柱管狭窄症の患者さんで、間欠性跛行の症状が出ていても焦らなくても大丈夫!
(もちろん全ての患者さんの間欠性跛行が改善するわけではないですが…)
そんな間欠性跛行の基本的な病態から、改善するためのポイント、具体的なアプローチまでこの記事で解説していきますね。
腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行で悩んでいる人は、参考にしてみて下さいね。
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間欠性跛行の病態・原因
まず基本的なところから。
間欠性跛行は、しばらく歩いたり立っていると下肢に痛みやしびれが出現し、逆に座ったりして少し休むとその症状が緩和してくる現象。
- 買い物でスーパー1周するのがキツい
- 旅行で周りの人と一緒に歩けなくなった
- 家事をしている間、立っているとふくらはぎが痛くなる
- 自転車や車の運転では痛くならない
- 休んでると楽になるけど、歩くとダメ
例えば、腰部脊柱管狭窄症の患者さんが上記のような訴えをするのであれば、間欠性跛行を疑ってみると良いでしょう。
原因は静脈叢の環流障害
間欠性跛行が出てしまう原因は、「硬膜外静脈叢」の環流障害やうっ滞に伴う神経機能の低下。
長い時間、歩行や立位を継続していると、硬膜外静脈叢が絞扼されてしまい殿部・下肢を中心に痛みや痺れなどの症状が出るんですね。
では、この硬膜外静脈叢の環流障害を引き起こしてしまう身体的な要因とは…?
間欠性跛行を引き起こす身体的要因&リハビリのアプローチ方法
間欠性跛行を引き起こす硬膜外静脈叢の環流障害を引き起こす身体的な要因を知ることが、リハビリを行う我々セラピストにとってすごく大切。
硬膜外静脈叢の環流障害を引き起こす身体的な要因は以下の通り
- 構造因子:すべり症、変性、骨棘
- 機能性因子:腰椎の前弯増強、腰椎の屈伸低下に伴う環流低下
大きく分けると上記2つに分けれますが、リハビリで対応となるのは機能性因子の方です。
特に腰椎の前弯増強をどれほど改善・制動できるかが間欠性跛行のリハビリでは重要。
そして次に考えないといけないのが、この腰椎前弯を増強させてしまう因子ですよね。
腰椎の前弯を増強させてしまう因子は、具体的には以下の4つ
- 多裂筋の柔軟性(椎間関節の可動性)
- 股関節屈筋群の伸張性
- 身体前面筋の支持性(コア)
- 腰椎の屈伸可動性
それぞれ詳しく、アプローチ方法を解説していきますね。
① 多裂筋の柔軟性(椎間関節の可動性)
腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行を改善するためには、多裂筋の柔軟性がしっかりと確保されているかが大切。
これは言い換えれば、椎間関節に拘縮がなくて、しっかりと可動性を有しているということ。
臨床での感覚としても、この多裂筋・椎間関節の柔軟性が改善してくるのと連動して、患者さんが症状なく歩行可能な距離や時間がアップしてきます。
なので、この椎間関節・多裂筋の柔軟性をしっかりと改善できるかが、間欠性跛行の改善のミソと言えますね。
しっかりと椎間関節・多裂筋を改善できることは、腰部脊柱管狭窄症だけでなく、成長期に多い腰椎疲労骨折や慢性腰痛にも応用できるので、しっかりとマスターしておきたいところ。
椎間関節由来の疼痛や柔軟性の改善方法については、別記事にまとめたので参考にどうぞ。
関連 腰椎椎間関節由来の疼痛について徹底解説【臨床でめっちゃ使える】
② 股関節屈筋群の伸張性
しっかりと多裂筋の柔軟性が改善し、椎間関節の可動性が出てくれば、次に股関節屈筋群の伸張を図っていきます。
(実際には同時に行うことも多いですが)
特に腸腰筋の伸張性低下は、直接的に腰椎前弯を増強させてしまいます。
また大腿直筋などの伸張性低下は、骨盤の前傾によって連鎖的に腰椎前弯を作り出してしまうので、しっかりと伸張性を改善しておきたいポイント。
筋肉自体が短縮しているケースもありますが、隣接筋と癒着して伸張しにくい状態になっている場合もあるので、その見極めに注意が必要です。
関連 腸腰筋の癒着が起こりやすい4つ部位とリリース方法を画像付きで解説!
腸腰筋のストレッチに関しては、高齢者に対してバランス等の問題で実施が難しい場合は、写真の様に片膝立ちでの骨盤後傾でも十分に伸張可能なのでおすすめ。
③ 身体前面筋の支持性(コア)
どれだけ椎間関節、股関節屈筋群の柔軟性が改善してきても、しっかりと身体前面のいわゆるコアが効いていないと、歩行や立位下では腰椎の前弯が増強してしまいます。
高齢者には、負荷の大きいトレーニングは難しいですが、腹圧を高めるような腹式呼吸や背臥位での下肢挙上を行うだけでもOK。
また座位で上肢から抵抗を掛けて、保持するようにして腹圧を高める方法も簡単で導入しやすいですよ。
④ 腰椎の屈伸可動性
下腿三頭筋によるポンプ作用は有名ですが、実は腰椎にも同じ働きがあります。
腰椎も動きの中でわずかな屈伸を繰り返すことで、血流の循環を促しているんですね。
ただお分かりの通り…
脊柱管狭窄症の患者さんは、腰椎の前弯が増強し屈曲の可動性が低下しているケースが多いです。
さらに患者さんに腰椎の屈曲を促しても、動きの感覚が乏しい人がめっちゃ多い。
なので四つ這いでの『CAT&DOG』などを行う前に、脊柱からの感覚入力を行うのがおすすめ。


ゆる体操
具体的には、背臥位で腰椎・骨盤を左右にゆらゆらと揺する運動。
この運動によって床面からの触圧覚によって、脊柱への感覚入力が促されます。
動きが滑らかにできるようになれば、腰椎の屈伸を行うわけですが、その際は脊柱を触ってあげて意識下で行うと動きが出やすくなりますよ。
腰部疾患への理解を深める書籍
この記事で書いた腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行など腰椎、腰部疾患への理解を深めたいなら、以下の書籍がおすすめ。


こちらは脊柱の基礎知識や疾患の病態などが、分かりやすく解説されています。
写真やイラストも多く、視覚的にも理解しやすいですよ。
苦手意識のある人も多い脊柱への理解を深めるには最適な一冊で、持っておくと臨床でめっちゃ役立ちます。
腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行に対するリハビリまとめ
この記事では、「腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行を改善するための4つのアプローチ」について書きました。
腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行の原因は、静脈叢の環流障害が原因ですが、それを引き起こす身体要因は4つ。
- 多裂筋の柔軟性(椎間関節の可動性)
- 股関節屈筋群の伸張性
- 身体前面筋の支持性(コア)
- 腰椎の屈伸可動性
上記にアプローチしていくことで、症状の緩和&歩行距離や立位時間がアップしていきます。
特に多裂筋の柔軟性を改善し、椎間関節がしっかりと動くようにすると効果は高いので、ぜひアプローチして観てくださいね!
今回は以上です。