肩関節(上腕)外側の痛みは、臨床で頻繁に遭遇する現象の一つです。
別記事で肩関節(上腕)外側の痛みの原因の一つとして、腋窩神経が四辺形間隙(QLS:quadri lateral space-クアドリラテラルスペース)で絞扼されることをお伝えしました。
特にこの四辺形間隙(QLS)での腋窩神経の絞扼は頻回に起こります。
言い換えれば、この腋窩神経の絞扼に対処できれば、肩関節(上腕)外側の痛みを改善できる確率が上がります。
そんなわけで本記事では四辺形間隙(QLS:quadri lateral space)で、どの組織が腋窩神経の絞扼の原因として関わっているのかを鑑別する方法をお伝えしていきます。
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肩関節外側の痛みと腋窩神経の絞扼
肩関節外側の痛みの原因にはいくつがありますが、臨床でみると腋窩神経の絞扼も多い印象があります。
腋窩神経の絞扼
腋窩神経や上外側上腕皮神経 (腋窩神経の感覚枝:上腕外側を知覚する神経)の絞扼は、肩関節外側の痛みとして感じられます。
この腋窩神経は肩関節後方の四辺形間隙(QLS:quadrilateral space-クアドリラテラルスペース)と呼ばれる隙間を通過しています。
このQLSは、上腕三頭筋、大円筋、小円筋、上腕骨から構成される隙間です。
この中でリハビリでは、上腕三頭筋、大円筋、小円筋がアプローチの対象となってきます。
何らかの影響でこれら筋群の筋緊張が高まった状態で挙上時に伸張されることで、QLSのスペースが狭くなり腋窩神経が絞扼され肩関節外側に痛みが生じます。
QLSを構成する上腕三頭筋、小円筋、大円筋は肩関節疾患では筋緊張が高まりやすい筋ですので、QLSや各筋に圧痛がないかをチェックしていきます。
さらに鑑別テストを行うことで絞扼に関わっている筋を特定していきます。
次から鑑別方法を紹介していくよ
腋窩神経の絞扼に関わる四辺形間隙(QLS)の鑑別方法
ここからは、QLSでどの筋が腋窩神経の絞扼に関わっているかの鑑別方法を紹介していきます。
QLSに関わる組織の中では、リハビリでは上腕三頭筋、大円筋、小円筋がアプローチの対象となってきますので、3つの筋の鑑別方法についてお伝えしていきます。
上腕三頭筋の鑑別方法
開始肢位としては肩関節90°外転とします。
その位置から肘関節を屈曲に持っていくことで、肘関節の伸展に作用する上腕三頭筋を伸張していきます。
この状態にした時に患者さんが肩関節外側に痛みを訴えれば、上腕三頭筋がQLSにおいて腋窩神経の絞扼に関わっていると判断できます。
大円筋の鑑別方法
開始肢位としては肩関節90°外転とします。
その位置から肩関節を外旋に持っていくことで、肩関節内旋に作用する大円筋を伸張していきます。
この状態にした時に患者さんが肩関節外側に痛みを訴えれば、大円筋がQLSにおいて腋窩神経の絞扼に関わっていると判断できます。
小円筋の鑑別方法
開始肢位としては肩関節90°外転とします。
その位置から肩関節を内旋に持っていくことで、肩関節外旋に作用する小円筋を伸張していきます。
この状態にした時に患者さんが肩関節外側に痛みを訴えれば、小円筋がQLSにおいて腋窩神経の絞扼に関わっていると判断できます。
肩関節のリハビリを学べるおすすめ書籍
肩関節に関する書籍は数多く出版されています。
その中でもより臨床に即して、リハビリに活かせるのは赤羽根先生の「肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版」です。
肩関節の解剖・運動学から、病態の理解までしっかり学べる良書です。
写真・イラストも多く分かりやすいよ
また村木先生の「肩関節理学療法マネジメント−機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く」も、肩に関して詳しく書かれているのでおすすめです。
腋窩神経の絞扼と四辺形間隙(QLS)鑑別方法まとめ
いかがでしたでしょうか?
臨床でよく遭遇する肩関節外側の痛み。
本記事では、その痛みに関わる腋窩神経の絞扼が、どの組織で起こるかを鑑別する方法をお伝えしました。
今回の記事が肩関節のリハビリを行う上で参考になればと思います。
QLSでの腋窩神経の絞扼にアプローチして、肩外側の痛みを改善しよう
最後までお読み頂きありがとうございました。