臨床の場面で遭遇することの多いのが、坐骨神経痛です。
遭遇することの多い坐骨神経痛ですが、リハビリで難渋することが多いんじゃないでしょうか。
なかなか改善しないんだよね…
坐骨神経痛のリハビリ=梨状筋のストレッチと考える人も多いんじゃないでしょうか。
ただ坐骨神経は腰部〜足部まで走行しているため、人によって訴える痛み・痺れの部位も様々で、梨状筋だけでは改善しないケースも多いです。
確かに梨状筋による坐骨神経の圧迫・絞扼も多いですが、坐骨神経の圧迫・絞扼が起こりやすい部位・要因は他にも多くあります。
この記事では坐骨神経痛を改善するためのヒントとして、梨状筋以外で圧迫・絞扼の起こりやすい部分・要因をお伝えしていきます!
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坐骨神経の基礎知識
まずは坐骨神経について簡単に説明します。
坐骨神経痛の解剖
人体最大の神経であり、大腿後面筋や下腿・足部の筋および皮膚に分布しています。
坐骨神経は元々、脛骨神経と総腓骨神経が被膜によって大腿上部では1つの神経の様に束ねられたものです。
坐骨神経は梨状筋下孔を通過し骨盤腔から出て、大殿筋に覆われながら大腿後面を下降し、膝窩上部で脛骨神経と総腓骨神経の2つの神経に分枝していきます。
- 坐骨神経が梨状筋下孔から出る部位:上後腸骨棘と坐骨結節のほぼ中点
- 坐骨神経が大殿筋の下縁に出る部位:坐骨結節と大転子を結ぶ線の内側1/3
坐骨神経痛が圧迫・絞扼されやすい部位
梨状筋の深層部分以外で坐骨神経痛が圧迫・絞扼されやすい部位は4箇所あります。
それぞれ解説していきます。
梨状筋を除く深層外旋六筋の浅層
坐骨神経は梨状筋の深層を通過した後、内閉鎖筋や大腿方形筋などの深層外旋筋の表層を通り遠位に向かって走行します。
そのため梨状筋以外の深層外旋筋の緊張が高い状態では、坐骨神経を下から突き上げる状態になり坐骨神経痛の症状が出現しやすくなります。
ヒラメ筋の深層
坐骨神経痛の患者さんで、“ふくらはぎ”を中心として下腿後面や足底部に痛み・痺れを訴えるケースは非常に多いです。
坐骨神経から分枝した脛骨神経は、足底に向かい内側・外側足底神経に分枝していきます。
そのためこの部分で神経が圧迫・絞扼されると下腿後面や足底部に痛み・痺れなどの症状が出現してきます。
臨床では特に脛骨神経で圧迫・絞扼が起こりやすく、この脛骨神経はヒラメ筋の深層を走行しています。
そのため、ヒラメ筋の柔軟性の低下や緊張が高い状態では、下腿後面・足底部にの症状が出やすい状態になります。
前脛骨筋–長趾伸筋の深層
坐骨神経から分枝した総腓骨神経は、さらに下腿部 (腓骨後方)で浅腓骨神経と深腓骨神経に分枝します。
このうち深腓骨神経は下腿前面を走行します。
そのためこの部分が圧迫・絞扼されると下腿前面に痛みや痺れなどの症状が出現します。
この深腓骨神経は前脛骨筋–長趾伸筋の深層部を走行していて、この部位の柔軟性の低下や緊張が高い状態では、下腿前面に症状が出やすい状態になります。
長腓骨筋の深層
前述の通り坐骨神経から分枝した総腓骨神経は、さらに下腿部 (腓骨後方)で浅腓骨神経と深腓骨神経に分枝します。
このうち浅腓骨神経は下腿外側を走行します。
そのためこの部分が圧迫・絞扼されると下腿・足部外側に痛みや痺れなどの症状が出現します。
この浅腓骨神経は長腓骨筋の深層部を走行していますので、この部位の柔軟性の低下や緊張が高い状態では、下腿外側に症状が出やすい状態になります。
坐骨神経痛と誤診されるトリガーポイント
坐骨神経痛は上述のように坐骨神経の走行上の各部での圧迫・絞扼によって症状が出る場合も多い。
ただ臨床では、トリガーポイントによって坐骨神経痛と似た症状が出ているケースも多いです。
そのため坐骨神経痛のリハビリを進める上では、このトリガーポイントを考慮しておくことが重要になります。
坐骨神経痛で診ておきたいトリガーポイントは下記の筋肉
- 梨状筋
- 小殿筋
- 腓骨筋
これらの筋は坐骨神経痛と類似した部位に症状を引き起こしますので、チェックしておきたい部分になります。
坐骨神経痛と診断されていたけど、実はトリガーポイントが原因だったというケースは臨床上では非常に多いですので取りこぼしなくチェックしていきたいです。
まとめ:坐骨神経痛を改善するには梨状筋以外もチェックしよう
いかがでしたでしょうか?
この記事でお伝えした内容は以下です。
坐骨神経痛を改善するヒント
- 坐骨神経走行上で圧迫・絞扼やすい部位を知る
- トリガーポイントの影響を考慮する
さらに臨床上、坐骨神経が絞扼しやすい部位は以下です。
また臨床上、坐骨神経痛と混同されやすいトリガーポイントは以下です。
- 梨状筋
- 小殿筋
- 腓骨筋
これらのヒントがリハビリを進める上で参考にして頂ければ幸いです!
最後までお読み頂きありがとうございます。