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伏在神経と膝関節内側の痛みの関係を徹底解説【評価・治療】

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理学療法士

伏在神経が、膝関節の内側の痛みの原因になるって聞いたんですが、よく分りません…。
詳しく教えてください。

今回はこんな悩みを解決していきたいと思います。

この記事で分かること
  • 伏在神経の解剖
  • 伏在神経と膝内側の痛みの関係
  • 伏在神経由来の膝内側部痛に対するリハビリ

リハビリでは膝疾患の患者さんに関わらず、膝関節内側部に痛みを訴える方に多く遭遇します。

でも膝関節内側部の痛みの原因は、挙げると数多く出てきます。

理学療法士

確かに原因が多くて、特定に迷うな…

膝関節内側部に痛みを引き起こす原因は数多くありますが、臨床をしていると伏在神経が原因で痛みが出現しているケースが多くあります。

そして伏在神経の絞扼を改善してくと、自然と痛みが軽減してくるケースをよく経験します。

そんなわけで本記事では、膝関節内側部の痛みと伏在神経の関係についてお伝えしていきます。

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目次

伏在神経の機能解剖

まずは伏在神経について、簡単にまとめます。

伏在神経は、大腿神経から分枝する知覚性線維で、大腿前面から内側に向かって斜走し、膝前内側〜下腿前内側の知覚を支配します。

走行大腿前面から内側に向かい斜走
知覚膝前内側〜下腿前内側
ヤマト

膝内側部痛には深く関わる神経だよ

伏在神経由来の膝内側の痛み

伏在神経は大腿内側でHunter管を通過して、膝内側へと至ります。

Hunter管(別名:内転筋管)
大腿下部内側から後部にかけてある筋膜の管。
伏在神経の他に、大腿動脈・大腿静脈がこのHunter管を通る。

伏在神経はHunter管を通過し膝内側の知覚を支配するため、伏在神経が絞扼された場合には、膝内側部に痛みが引き起こされてしまいます。

たとえ膝関節の変形があって痛みが強く出ているケースであっても、実はこの伏在神経の絞扼が原因で膝関節内側に痛みが出現していというケースは多くあります。

伏在神経を絞扼する筋肉

Hunter管は、以下の筋肉の影響を受けているので、これらの筋肉の緊張が高まると伏在神経が絞扼されやすくなります。

  • 縫工筋
  • 内転筋(大内転筋、薄筋)
  • 内側広筋

特に縫工筋は伏在神経の表層を走行するので、縫工筋に短縮や滑走性の低下が生じると、伏在神経を圧迫する形となり、膝内側へ痛みが出現します。

そのため縫工筋は、上記の筋肉の中でも特に重要な筋と言えます。

松永ら(1997)は、伏在神経の解剖を調べた結果から…

伏在神経膝蓋下枝が縫工筋後縁を回り,筋表面を前方に向かうもの15肢(41.7%)、縫工筋筋腹を貫通して筋表面の前方を走るもの19肢(52.8%)であったと報告している。

伏在神経由来の膝内側部痛の評価

次に対象患者の膝関節内側の痛みが、本当に伏在神経由来なのかどうかを評価していく必要があります。

この伏在神経由来の痛みは、臨床だと鵞足炎や内側半月板損傷の痛みと似ているので注意が必要です。

評価としては、主に3つの項目をチェック。

疼痛の種類の確認

まずは問診で、どんな種類の痛みかを確認します。

伏在神経由来で膝内側部痛を訴えるケースでは、“鈍痛”として表現される方が多いです。

問診で得られる、こういった情報も伏在神経由来の痛みを鑑別するヒントとなります。

縫工筋-内側広筋間の圧痛

伏在神経由来で膝関節内側に痛みが生じているケースでは、縫工筋-内側広筋の筋間に圧痛を認めます。

伏在神経由来で痛みが生じているケースでは、この筋間を圧迫すると、かなり強く痛みを訴えられる方が多いです。

評価の際は、必ず左右差を確認しましょう。

患側のみ痛みがある場合は、伏在神経由来の痛みの可能性が高まります。

縫工筋のストレステスト

前述の評価で、伏在神経由来の痛みの可能性がありそうとなれば、最後にこの評価を行います。

伏在神経由来の膝内側の痛みを評価する際には、伏在神経を最も表層から圧迫する縫工筋にストレスを掛けるのが有効です。

具体的には、縫工筋を伸張して痛みが再現されるかを診ていきます。

縫工筋の作用
・股関節:屈曲・外転・外旋
・膝関節:屈曲

縫工筋に伸張ストレスを加えるには、作用とは逆方向の動きを入れていきます。

STEP
股関節の操作

股関節の伸展・内転・内旋方向へ操作します

STEP
膝関節の操作

膝関節の伸展-屈曲方向へ操作し、縫工筋に伸長・摩擦ストレスを掛けます

この評価で痛みが再現できれば、膝内側の痛みが伏在神経由来で生じていると判断できます。

伏在神経由来の膝内側部痛に対するリハビリアプローチ

最後に、伏在神経由来の膝内側部の痛みに対するリハビリアプローチです。

アプローチとしては、伏在神経に影響を与える3つの筋の柔軟性や筋間の癒着を改善するようにリリースを行っていきます。

特に縫工筋と周囲の筋肉との滑走性低下や、縫工筋や大内転筋の柔軟性低下に対してアプローチしていくと良いです。

ちなみに具体的には、以下の部分をリリースしていきます。

青く表示されているのが縫工筋
  1. ① 縫工筋-内側広筋
  2. ② 縫工筋-薄筋
  3. ③ 大内転筋

上記の筋間を触り分け、割くようなイメージでリリースしていきましょう。

膝関節のリハビリを学べるおすすめ書籍

最後に膝関節の解剖、運動学への理解を深めるための書籍を紹介します。

伏在神経のリハビリでおすすめなのが「園部俊晴の臨床 膝関節」という書籍。

伏在神経の解剖・運動学から、痛みへのの評価・治療まで網羅されていて、まさに伏在神経のバイブル的1冊。

著:園部俊晴
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園部俊晴の臨床『膝関節』の書評レビューはこちら

また伏在神経のリハビリでは、筋や周囲組織を触り分ける技術は必須です。

触診が苦手という人にはこちらの書籍がおすすめです。

ヤマト

どちらも必ず臨床で役立つ書籍だよ

まとめ:膝内側部痛には伏在神経にアプローチすべし

いかがでしたでしょうか?

今回は膝内側部痛の痛みの原因の一つとして、伏在神経の可能性についてお伝えしました。

臨床でも、この伏在神経由来の膝内側部痛の患者さんって凄く多いです。

是非、これからのリハビリで試してみてください。

最後までお読み頂きありがとうございました!

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