日々臨床で多くの患者さんを担当しリハビリする中で、なかなか症状が出ている原因が分からないことや上手く臨床推論が進まないことは多いですよね。
分からないことは参考書をみたりや先輩・同僚に相談し、色々と考えていると思います。
そういった臨床での悩みを解決する一つの手段として、セミナー・研修会への参加があります。
中には「毎週セミナーに行ってます」なんて人もいるのではないでしょうか?
休日返上、決して安くないセミナー代を払って参加する意欲は素晴らしいですよね!
この記事ではよくセミナーに参加しているそんな若い世代に向けて、“セミナーの参加の仕方を考えてみよう”ということをお伝えしていきたいと思います。
セミナーに対して思うこと
私が理学療法士になった10年前に比べ、現在では理学療法士会以外でセミナーを開催する団体がもの凄く増えました。
検索すれば毎週のように各地でセミナーが開催されています。
色々な種類のセミナーがあり迷うくらいですね。
そういったセミナー案内や団体のHPを見てると
“たった数秒で〇〇筋を緩めるテクニックを教えます”
“超簡単、痛み治療は◯◯をしておけば大丈夫”
などと言う謳い文句が目立ちますね。
こういったセミナー案内を見ていると、参加するとめちゃくちゃ治療が上手くなりそうって感じますよね。
そしてこういった即時的な効果を謳うセミナーは結構、受講生が集まるようです。
特に臨床経験5年目以下の若い世代。
かつて私も…
かつて私も同じように、即時効果を売りにするセミナーにめちゃくちゃ参加していました。
こういった即時効果の謳い文句に誘われて毎週全国のセミナーに通っていました。
一発で治る魔法のテクニックを求めて…
私は住んでいる地域が研修の開催される都市部まで遠いため、セミナー受講費+交通費・宿泊代などで、1回のセミナーで数万円の出費もザラでした。
それでも謳い文句に誘われて参加しまくっていましたね。
そのセミナーへの申し込みにあたって、
“患者さんの為に!”
“患者さんを良くしたい”
と思う気持ちはもちろんありましたが、どちらかと言うと知的好奇心の探求になっていたり、“同期や先輩が行っているセミナーだから行かなくちゃ”っていう考えも強かったです。
1番の動機は、セミナーに参加しないと同僚に負けてしまう!なんていう強迫観念。
その頃は臨床での悩みを解決する事が目的でセミナーへ参加するというより、セミナーに参加する事が目的になっていた時期もありました。
セミナーに参加している事に満足してしまっていましたね。
気づいた事
そしてセミナーに通いまくって、セミナーで習ったテクニックを患者さんで試して、上手くいかなければまた違うセミナーへ行くの繰り返し。
確かに瞬時で筋肉を緩めたり、即時的に効果がでるテクニックももいっぱいあります。
中には原理は何だか良く分からないけど、カッコいいって思うテクニックも。
※ここで注意して頂きたいのは、こういったセミナーを否定する気持ちはもちろんありません。
そんなセミナーに多く参加していて、ある時気付いた事がありました。
“俺、ちゃんと臨床で考えてリハビリ出来ていないな”
目の前の患者さんのその症状が何故出たのかを考えず、即時的に効果が出てるテクニックを試しまくっている自分。
結局は自己満足で、テクニックに患者さんを当てはめている。
その場しのぎで終わっていることに気付いてきました。
根本的な事が分からず充分に評価できていないから、結局アプローチをしても効果は不十分。
セミナーで習った新しいテクニックを使い自己満足…
患者さんをしっかりと診れていない自分…
例えば、内反変形のある膝OA患者さん。
あるテクニックを使って膝の痛みが即時的に取れても、また次のリハビリの際には痛みが戻っていることは多いですよね。
それはどの組織が痛みの原因で、どういった動作・関節の動きが加われば痛みが出て、どういった動作・関節の動きになれば痛みが軽減するか、そしてこの内反変形は何故起こってしまったのかを考えた上で、アプローチしていかないと根本的な対応が出来ていないんですよね。
若いセラピストへ伝えたい事
“魔法のようなテクニック”はないです。
結局は、臨床推論を行って、ひたすらトライ&エラーの繰り返し。
そして多くの患者さんを診させてもらい、自分の中でこうしたら良いんだというデータベースを構築して行くしかないんです。
当たり前の事ですがこういった事を忘れて、かつての私のようにセミナーに参加する事が目的になっている人って多いんじゃないでしょうか?!
何故セミナーに参加するのか?、参加する目的は?、参加してどうなりたい?
今一度、セミナーの参加の仕方を考えてみて下さい!
セミナーを選ぶ際は以下の記事を参考にしてみて下さい!

おわりに
セミナーの参加の仕方をかつての自分の失敗を踏まえながらお伝えしました。
セミナーへ参加する意欲、行動力はもちろん素晴らしいです!
そして多くのセミナー団体を否定する気持ちは全くありません。
ただセミナーを選ぶ我々は、そのセミナーへ参加する目的をハッキリとさせなくてはいけないですし、セミナーへ参加したその先には必ず患者さんがいなくてはいけません。
セミナーへ参加する事が目的になっている、セミナーコレクターになっていると感じた方は、今一度セミナーへの参加の仕方を考え直してみて下さい!
そうする事が、また新たに成長できるキッカケにもなります。
最後までお読み頂きありがとうございました。