上肢 (肩関節)挙上の獲得を目指して、肩甲上腕関節や肩甲胸郭関節、胸椎など体幹へアプローチする機会は多いと思います。
しかしその部分のアプローチだけでは改善が難しいケースが多いのも事実です。
そういった場合には、肩関節より末梢の肘関節や手関節、手指に対してアプローチすることで良い反応が得られることもあります。
この記事では、上肢挙上に影響を及ぼす末梢 (肘・前腕・手部)の機能についてまとめていきます。
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何故、上肢挙上に末梢の機能が必要なのか
“リモコンを使う”、“コーヒーを飲む”、“パソコンでタイピングをする”、“戸を開ける”など、
私達の生活の中で上肢を使うケースを考えた場合、上肢の末梢である“手部”に意識を向けて行動を行っています。
これらの行動を行う際に、肩関節に意識を向けて行ってはいないですよね?!
その手部での行動を達成するために、向き(角度)や力加減を微調整している部位として肩関節があります。
肘関節にも同様の微調整をする役割がありますし、肘関節の微調整をする部位として肩関節があります。
末梢の調整をその部位の中枢部が行っていると考えています。
そのため手指や手関節、前腕、肘関節に可動域制限などが問題が生じているケースでは、肩関節で代償もしくは補償してきます。
それが上肢挙上の制限や痛みなどの問題へと繋がってきます。
肩関節の可動域制限や痛みの原因が、実は末梢である肘関節・前腕・手関節の影響で生じているかもしれません。
上肢挙上に必要な肘関節・前腕の影響
上肢挙上に必要な肘関節、前腕の動きは…
肘関節:伸展
前腕:回外(最終域では回内)
臨床では肩関節術後などでは三角巾やアームスリングで安静固定されるケースも多くあります。
そういった患者さんで、痛みが強く筋緊張が高かったり、間違ったポジションでの固定が習慣化しているケースでは、肘の屈曲位や前腕回内位で固まってしまっているケースが多くみられます。
こういったケースでは固定時のポジションをしっかりと指導することはもちろんです。
可動域の制限が生じているケースでは屈筋群や回内筋群をしっかりとストレッチして、制限を改善していくことで肩関節の可動性も拡大してくることをよく経験します。
上肢挙上に必要な手部(手関節・手指)の影響
上肢挙上に必要な手部の動きは…
手関節:掌屈・尺屈
手指:橈側(1〜3指)-伸展、尺側(4・5指)-屈曲
臨床では母指が屈曲や内転方向に固まっているケースが多い印象があります。
筋膜の繋がりを考えた場合でも、母指内転筋などの母指球筋の柔軟性を獲得しておくことが円滑な上肢のスムーズには必要です。
上図のようにアナトミートレインのディープフロントライン上の母指球筋が固まることで、上腕二頭筋や小胸筋などの緊張を高め、肩関節の可動域制限へと繋がる可能性があります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
肩関節の可動域制限では中枢である肩甲上腕関節や肩甲骨などに目がいきがちですが、臨床では肘関節や手関節など末梢が影響しているケースも多く遭遇します。
是非、末梢の影響も考慮して肩関節のリハビリを行ってもらえたらと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。