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【実体験】医療従事者として感じた不妊治療の現実と問題点

私事ではありますが、先日無事に子供が産まれました。

実はこの出産に到るまで、私達夫婦は約1年の間不妊治療を行っていました。

実際に不妊治療を経験し想像していた以上に不妊治療の大変さを感じるとともに、医療従事者としてもう少し改善出来ないかなと思う問題点も多く感じました。

この記事でそういった不妊治療の現実と私が感じた問題点についてお伝えしていきます。

不妊症、不妊治療とは?

まずは簡単に不妊症や不妊治療の流れについて。

 

不妊症とは?

不妊症の定義としては、妊娠を希望して、1年間通常の夫婦生活を行っているにも関わらず妊娠の成立をみない場合」とされています。

 

そのため子供を作らないなど特別な家族計画がないケースを除いて、結婚後1年を過ぎても妊娠しない場合には不妊症として診断されます。

 

この1年という期間設定は、通常80%の夫婦が結婚後1年で妊娠するとされている報告から定められたようです。

さらに2年にその期間を広げてみると約90%の夫婦が妊娠に到るそうです。

 

私達夫婦は結婚後、2年半を過ぎた段階で不妊治療を開始しました。

私達夫婦は妻の不正出血で婦人科を受診したことがキッカケで不妊治療を開始しましたが、このキッカケがなかなか掴めない夫婦も多いと思います。

 

自分たち夫婦は大丈夫!

次のタイミングで妊娠するのではと考えて、キッカケが掴めずズルズルしてしまうのはよく分かります。

 

不妊症の原因

次に不妊症の原因についてです。

 

私も実際に様々な検査を受けることで、本当に不妊症には数多くの原因があるのだと実感しました。

最近ではTVなどの報道の影響もあり、男性側の問題での不妊症も認知されるようになってきましたね。

 

男女別に簡単に分類してみたいと思います。

 

【男性側の問題】

・無精子症

・精路閉鎖

・性交障害

・内分泌ホルモン障害

・その他

 

【女性側の問題】

・卵巣機能不全

・卵管の狭窄、癒着、閉鎖、水腫

・子宮筋腫、子宮の奇形、発育不全

・内分泌ホルモン異常

・子宮内膜症

・その他

 

大きく分類すると上記のような問題が挙げられますが、実際に検査を受ける中で「抗精子抗体」と呼ばれる女性側で精子を受けつけない抗体が存在するケースもあると医師から説明されました。

「抗精子抗体」など初めて聞きましたし、そういった要因があるとは想像もしていなかったので、本当に様々な要因が影響して不妊症となるのだと驚いたのを覚えています。

 

私達もあらかたの検査を受けましたが、子宮や卵管、精子など構造面では特に問題はないという結果でした。

しかしどういった要因で不妊に到るかは人それぞれですし消去法的に不妊症の原因を絞るためにも、まずはしっかりと西洋医学的な検査を受けるべきだなと感じました。

 

巷では不妊症に対して、あの食材が良いとかこういった運動が良いとう情報がありふれていますが、例えば卵管が閉塞した状態でそういった方法を試しても、構造的に問題がある状態では妊娠に到る可能性は低いですのでまずはしっかりと検査を受けるべきだと考えています。

 

不妊症の原因の男女比は?

不妊症の原因は女性側の問題と捉えられがちです。

しかし最近の報告では、不妊症の原因の男女比は1:1とされています。

夫婦どちらにも不妊症の原因の可能性はあるのです。

 

不妊治療の流れ

不妊治療の流れについても簡単に説明していきます。

 

不妊治療の流れは大きく分けて4つです。

STEP.1
タイミング法
医師が超音波で卵胞の状態などをチェックし、排卵日を予想し性交のタイミングを指導する方法。排卵誘発剤を使う場合もあり。
STEP.2
人工授精
排卵のタイミングをみつつ、男性から採取した精子を女性の子宮内に人工的に注入する方法。 注入前に精子の運動率を改善する処理を行う場合もあり。
STEP.3
体外受精
人工的に体外で精子と卵子を受精させ、女性の体内に戻す方法。卵子に精子を振りかけ、自然と受精した受精卵が分割したら体内に戻す方法。
STEP.4
顕微授精
体外受精の一種。受精自体を ガラス管等を使って精子を卵子に直接注入しさせる方法。

 

 

ちなみに人工授精以降のステップは自費診療となり、各病院・クリニックによって費用は異なりますが体外受精では1回あたり30〜50万円程掛かるとされています。

 

体外受精は自費診療でかなり高額となり、治療のステップアップ・継続のネックになるとされています。

※各自治体で助成金などのサポートはあります。

不妊治療の現実と問題点

私達夫婦は妻が歳上ではありますが、結婚後すぐに妊娠するものだと思っていました。

正直な話、不妊治療は他人事でまさか自分達が不妊治療を行うとは思ってもいませんでした。

そして何となくネットニュースやTVで不妊治療の流れなどは把握していましたが、実際に体験すると想像以上の大変さでした。

それと同時にまだまだ色々と問題があるなと感じることもありました。

いくつかお伝えしていきたいと思います。

 

医療の地域格差

まず感じたのがこの医療の地域格差です。

 

私達は京都の北部地域に居住しています。

いくつか病院はあり婦人科もあるのでタイミング療法、人工授精は治療として受けられるのですが、体外受精を行える病院はありませんでした。

 

私も不妊治療を始めてから知ったのですが、京都では体外受精を受けらる病院は京都市内に集中しているのです。

(もちろん体外受精の助成対象の病院も京都市内に集中)

 

 

私達夫婦は妻が高齢(35歳以上)で結婚後2年半以上が経過していたことから、お世話になっていた近医の医師の判断で早い段階で体外受精を視野に入れて体外受精が行える京都市内の病院への転院となりました。

 

ちなみに京都の北部地域から京都市内までは約100km(高速を使って車で約2時間)。

 

不妊治療では排卵日を予想するため卵胞の成熟度合いなどを細くチェックしますので、受診した日の数日後にまた来てくださいなんてことはザラにあります。

その度に100km近い道のりを往復するのは身体・精神の両面、また経済面での負担になりますね。

 

 

確かに体外受精は高度な治療ではありますが、京都の南部に集中している状況では京都の北部や中部地域の方にとっては通院だけで負担ですし、せめて中部地域にでも体外受精が行えるような専門の病院があればと何度も思ったものです。

 

特に京都の北部地域は少子化が進んでいますので、この地域による医療格差を解消しないとなかなか少子化に歯止めが掛からないのではないかと思います。

 

仕事を続けての治療継続が難しい

昔に比べて不妊症に対する理解が進み、助成金のサポートなどが受けられるなど不妊治療に取り組みやすくはなっていると思います。

 

確かに高額な自費診療となる不妊治療では経済面は大きなネックとなります。

しかし実際に不妊治療を始めてみて感じたのは、それ以上に仕事を続けながら不妊治療を継続することの難しさです。

 

まだ私達夫婦の治療が初期段階であるのタイミング法を行っていた頃は、車で約40分の病院の婦人科でお世話になっていました。

 

京都市内の病院に比べると格段に近いですが、診察のためにはどうしても半日は有給を消化しないといけませんでした。

 

月に1度くらいの頻度であれば良いのですが、卵胞の成熟度合いをみて排卵日を予想するために頻繁に通院しないといけなく、また受精しているかの確認でも通院が必要になりますから、どうしても有給消化の頻度が増していきました。

 

有給消化自体は何も問題のないことですが、日本の社会ではまだまだ消化しにくい雰囲気があったり、消化しようとすると露骨に上司が嫌な態度を示すことも多いと思います。

ひどいところでは妊娠が分かれば退職しないといけない職場もまだあるみたいですね(・_・;

 

また有給を消化することに後ろめたさを感じる必要はないのですが、他のスタッフに仕事を割り振らないといけないですし、妻にはそれ自体がストレスにもなっていました。。

 

そして何ヶ月も治療が続けば有給消化は増え有給自体も減り、また治療が上手くいかないことも重なってストレスも溜まり…

 

さらに前述のように京都市内の病院へ転院になると移動だけでも時間が掛かりますし、さらに有給の消化頻度は増し、ほぼ無くなるという状況にもなりました。

 

 

このように不妊治療では金銭面での助成などサポートはあるのですが、仕事を継続しながらというのは居住地域によっては難しいのが現状だと感じました。

 

仕事を続けながら治療が継続出来るようなサポートが今の社会にないのが現状ですし、少子化対策を行う上ではそういった金銭面だけでないサポートが必要だと感じました。

 

最終的に妻は仕事を退職することになりました。

 

男性側の理解・協力は不可欠

不妊症は男性側の問題も大半との認識が広まりつつある一方で、まだ不妊症は女性側の問題と捉える傾向も強いように感じます。

 

同じく不妊治療をしている人の話を聞いても、パートナーである男性が検査をしていないケースは意外とまだ多くあるようです。

 

前述の様に不妊の原因が男女半々に可能性がありますし、構造的に問題があるのにいくら排卵にタイミングを合わせていても妊娠に到る可能性は低いです。

 

男性はどこか自分は大丈夫と考えがちで検査を受けなかったり、不妊症への対策を受けない傾向にあるようです。

何度も言っていますが男性側の理解は不妊治療には必ず必要ですが、そうではないのが現状なようです。

 

 

また不妊治療では、排卵日などタイミングが重要になります。

そのタイミングで旦那が外出したり仕事のために帰宅が遅かったりとなかなか協力してもらえないというのも女性側からするとストレスであり、不妊治療の進まない原因ともなります。

 

さらに通院など女性一人で行くのも不安もありますし、精神的な負担ともなり得ます。

 

私は出来る限り付き添いましたし、そのために自分も有給を取ったり早退するなどサポートをしました。

不妊治療においては女性の負担・ストレスを如何に軽減できるかが重要と考えていたので出来る限りの協力はしようと考えていました。

 

私の職場の同僚の協力もあり、サポートできたことには感謝しています。

 

病院間の連携・協力が図れることが理想

これはあくまで個人的なケースでの話で理想であり、制度的なことで難しいことは重々理解はしていますが書かせてください。

 

何度も言っているようにタイミング法や人工受精などでは卵胞の成熟度合いを診て排卵日を予想していく必要があります。

そのために超音波でのチェックを行ったり、卵胞の発育と排卵を促す排卵誘発剤の使用したりします。

また人工授精後などには着床を助けるために、HCGと呼ばれる注射を打ったりします。

 

私達のケースでは体外受精を見越して、タイミング療法以降は京都市内の病院へ転院となりました。

そのため近医でも行えた人工授精も京都市内の病院で行うことになりました。

各施設での基準や方法などがありますから、排卵のタイミングを診て人工授精を行うまでは掛かりつけの京都市内の病院で行って、その後の着床の確認や着床を促すHCGの注射を転院前の近医で出来る体制があればかなり負担が減ったなと思いました。

 

着床の確認や着床を促すHCGの注射などの処置は近医でも行っていますし、医療技術としての差は病院間であまりないのかなと思いますので、病院間で連携を取ってもらいこの治療は近医で、この治療は京都市内の掛かりつけの病院でという流れで行ってもらえるのが理想だなと感じました。

 

 

これは難しいのは医療従事者としては重々承知していますのであくまで理想論ですが、ゆくゆくは病院ごとが連携をし細かな治療の分担が出来るような制度が出来れば理想ですね!

(今でも術前・術後などで病院ごとの大まかな連携は取られてはいますけどね!)

まとめ

私が体験した不妊治療の現実、その治療の中で感じた問題点をお伝えしました。

ここに書いた内容は理想論などもありますが、少しでも今の社会が不妊治療がしやすい環境になればと願っています。

不妊治療の大変さ、苦労は経験した人にしか分からない部分もありますので。。

そして子供を望む少しでも多くの夫婦に妊娠・出産という喜びを感じてもらえればと願っています。

最後までお読み頂きありがとうございました。